表札を出したくない人の表札「 小林 」さん

表札を出したくない人の表札「 小林 」さん

[ 表札を出したくない人の表札 「 KOBAYASHI 」 【 小林 】 本物の真鍮で作ったサインプレート ]

「チャンネル12 消失」


あるところに、小林さんという名の、とても普通の人がいました。彼は都会の片隅に住み、毎日、会社と家を行き来するだけの生活を送っていました。特に変わったことはない人生でしたが、小林さんにはひとつだけ奇妙な日課がありました。

それは、毎晩寝る前に、小さなノートに「今日、消えたもの」と題して何かを記録することでした。初めのうちは、何も消えていないように見える日が続きました。「何もなし」と書いては、ノートを閉じて眠りにつく日々が続いていました。しかし、ある夜、何気なくテレビを見ていた小林さんは、チャンネルが一つ消えていることに気づきました。お気に入りの番組が放送されるはずのチャンネルが、どこにも見当たらなかったのです。

その日、小林さんはノートに初めて「チャンネル12 消失」と書きました。

次の日も、さらに奇妙なことが起こりました。朝、コーヒーを買おうとしたところ、いつも行っていたカフェが忽然と姿を消していたのです。「カフェ プラネット 消失」と、またノートに記しました。

それからというもの、毎日何かが消えていくのを目撃するようになりました。通勤電車の席が一つ、知らない間に無くなっていたり、同僚が突然「最初からいなかった」ように扱われたりと、不思議な出来事が続くのです。

小林さんは恐怖を感じ始めました。自分だけがこの奇妙な現象に気づいているのか?なぜ自分の周りのものが次々と消えていくのか?そして、最後には自分も消えてしまうのではないか?そう考えずにはいられませんでした。

ある夜、ついに恐ろしい予感が現実のものとなりました。ノートに「自分の存在 消失」と書かれていたのです。翌朝、小林さんは目を覚まし、鏡を見ました。しかし、そこに映っていたのは、誰もいない鏡だけでした。

彼は消えてしまったのです。